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活動報告

インドネシア

プロジェクト1:森林火災被害地への在来種植林活動

貴重なインドネシア熱帯林の在来種、
フタバガキ科メランティ・メラの苗木

熱帯林特有の植物相と動物相を有し、300haの広さを持つこの森は、国立ムラワルマン大学の演習教育林として利用され、また日本(JICA)やドイツ(GTZ)を始めとする世界各国の研究者が訪れています。

インドネシアの木材輸出の花形となったボルネオの大木を多数有するこの森は、サマリンダ市の賢明な市政によって70年代の大量伐採の手からは逃れましたが、1982-1983、1992-1993、1997-1998の三度にわたる森林火災によって大きな被害を受けました。特に最初の火災では大規模な植生の退廃を招いており、火災の前には209樹種、125科目、ヘクタールあたりの胸高直径10cm以上の個体数が445本記録されていたのが、火災後には199樹種、113科目、ヘクタールあたり335本になってしまっています。また、99年の調査では古い2次林のうち胸高直径10cm以上の焼け残った木が116種650本、2003年の調査では胸高直径50cm以上の個体数は2600本が確認されていますが、そのうちの多くが健常ではない状態にありました。

この森の植生を守るため、2001年2月17日に国立ムラワルマン大学とサマリンダ市との間でMoUが結ばれ、共同での管理・運営に当っています。今回のIAAFグリーンプロジェクト植林活動では、このムラワルマン大学の協力を得て、インドネシアの熱帯林を構成する代表的な樹種でもある在来種のメランティーメラ(Shorealeptocados)4,000本とカポール(Dryobalauopsaromatica)を1,000本、合計5,000本の苗木を準備しました。これらの苗木を、25m²に1本の植林=400本 ⁄ haで、山火事などの後で一次植生として生えるマカランガなどの樹種の林になってしまった二次林のエリアに樹下植林を行いました。

カポールの苗木

カポールの苗木

カポールの植林

カポールの植林

「森の劇」の様子

メランティの植林

一次植生で生えてくる樹種は日当たりを好む陽樹です。これらは10~15年前後は生育しますがそれ以上は育たずに枯れてしまいます。本来の熱帯雨林を形成する主要樹種は、小さい段階では日光を好まない陰樹です。これらの樹種は山火事のために大半の親木が焼失し、種子の落下による幼樹が育ちません。このため時間が経っても、将来共に豊かな熱帯雨林が再生されません。この状況を改善して、本来の熱帯雨林を再生するために主木に育つ樹種を二次林の下に植林しました。これらの樹木は5年後10年後はまだ二次林を抜け出ていないのでそれほど成長は期待できませんが、5年目で胸高直径4cm、樹高5m程度を予想しています。10年目は胸高直径8cm、樹高は約10mに成長します。

この植林は、草原に植林する方法と違って、二次林があるのでライン状に伐開する必要があり、作業に時間がかかりました。見た目では、草原に植林するほうがよさそうに見えるかもしれませんが、熱帯雨林をこれ以上減らさない、劣化させないためには、樹下植林のような方法が必要です。在来樹種を樹下植林をすることで、本来に熱帯雨林に近い森の再生ができることになりました。これは、きわめて意義深い植林活動になったといえるでしょう。

活動実施団体:特定非営利活動法人アジア植林友好協会

アジア地域で植林活動を行う事でアジアの熱帯雨林の再生に寄与すること、また、植林活動を通じてアジア地域の人々の民生向上(自立支援)に協力していくことを目的とする。