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2009年度事業 焼畑輪作農業から棚田水田農業への転換

※本事業は、公益信託地球環境日本基金の助成を受けて実施しました。

タイ北部山岳地域ナーン県プア郡3カ村において、焼畑陸稲から水田(棚田)稲作へと農法を変えることで、より少ない面積で生計をたて、かつ、森林の回復を図り、生態系の保全、温暖化防止に寄与することを目的に事業を行っています。

焼畑の跡


棚田(パンヤン村)

事業に先立ち、村では棚田実行委員会を結成しました。
メンバーは、パンヤン村33人、ナムクワン村14人、フアイウィン村15人です。3カ村では互いに交流しあってワークショップを開催、討論しています。
水源地と棚田の標高差が少なく水源地との距離が短い、水源地の近くまで焼畑が広がっていること、生活水への使用が多くて農業用水に行き渡らないなど、やはり水の問題が多く話されています。棚田を拡張する前に大型チェックダム(堰)を設置して、水路の拡張が必要だと結論がでました。また、天候不順で水稲が腐ったり旱魃の被害にあうという問題、ねずみの被害などの対策をみんなで話し合っています。日本ではもぐら対策にペットボトル風車を廻しています。ねずみにも効果があるのか、村でも作ってみることにしました。

2009年度の実績

■棚田の造成
ナムクワン村4.5ライ、パンヤン村6ライ、フアイウィン村3ライの3カ村合計で13.5ライ(2.16ha)造成。
これまでの合計で、3カ村合わせて約70ライ(約11ha)の棚田が完成しました。

■土木事業
ナムクワン村:チェックダム(小型の堰)5箇所、貯水池5箇所新設。
パンヤン村:山の中腹に大型・共同貯水池を設置。13家族が小型の池を13箇所設置。
フアイウィン村:現在の2箇所の池を深く掘って貯水量を増やした。貯水・養魚池4箇所新設。

■生態系保全型農業
増設や新設した貯水・養魚池に1万4千尾の養魚を放流。
堆肥床を製造。1家族平均6袋の堆肥をつくり、野菜と堆肥を売って副収入を得た。
アグロフォレストリーの試みとして、焼畑放置の土地に、茶、コーヒーの苗木を2万本植林。


池と棚田(パンヤン村)


水源の沢、チェックダム


村の地図作り

3カ村の交流。もみの品種と収量を比較


パンヤン村とナムクワン村で棚田作業


灌漑池(パンヤン村)

棚田造成、すべて人力で行われる

他村からも稲の生育状況を見に来る

収穫後は菜園に利用(二毛作)

2009年12月に、日本から農林業の専門家を派遣しました。

3日間の滞在期間中、3カ村からの村人、村役人、国立公園スタッフ、郡農業事務所など98人が集まりました。棚田造成の注意として水田の大原則、蒸発防止、漏水防止、水源地保全のための植林方法を学びました。
水源地近くまで広がっている焼畑耕作地を視察して、土砂崩れ、水枯れの元凶であることをまず指摘、森林保全の大切さを講義しました。
池作りに適した場所(木陰であること、標高差が確保されていること)とその周辺に植える木の種類の選択方法、水の確保と食糧確保が両立する合理的な生態系保全型農業の手法、畝作り、水路からの放流の方法など、村人と一緒に作業しながら指導しました。村人の心に最も響いた言葉は、「農業は水から、森林から」「農業は忍耐と真心から」。村人の標語となっています。


優秀農民に鍬をプレゼント


同じく優秀農民にタイ国旗を授与


漏水防止の講義をする

クロつけ(畦塗り)の実地指導


子供たちも働く


記念撮影

棚田水田事業は多くの点で農民の生活改善と環境保全をもたらす事業として成功を収め始めています。村人は、今後も3カ村のネットワークで棚田による森林保全に取り組むことを決めました。それは成果がはっきり見えてきたからです。

水田からは平均512kg/ライ(16a)米の収穫があり、焼畑陸稲の約2倍から3倍の収量でした。最も多かった家族は1ライあたり862.74kgの収穫がありました。米の単収が陸稲よりも多く得られることにより、棚田面積の約2倍の面積を森林に転換することが可能になりました。また、これまでは、農作業に10から11ヶ月費やしてきましたが、その労働時間を4ヶ月に短縮できました。棚田は居住地から比較的近くに作れるので遠距離急斜面での労働は3分の1に軽減、残りの時間を菜園や養魚の仕事に費やすことが出来ます。
そのため、各村で8から10家族が新たに棚田メンバーとして参加を申し出ています。さらに、隣の郡の2カ村が棚田の見学に訪れて活動を開始することを決めました。特に日本の専門家によるトレーニングには多くの役人も見学に訪れ、その後自治体がパンヤン村に対して支援を始めました。

問題もあります。国立公園指定地域であることから、耕作機械などは使えず、全て手作業なため、年間の棚田拡張面積も限られます。委員会は組織力を強化して、自治体とも交渉できるようになる必要があります。

集中豪雨、旱魃などの気候変動の影響と思われる天候不順に対処するために米の品種改良も必要であり、水源地の保全は最重要課題です。それでも村の人たちは、棚田と生態系保全型農林業とを複合させて、環境保全型モデル村となるべく、皆、張り切っています。


土地利用データ




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