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「環境センター活動と環境保全カリキュラムの開発」 2006年度活動報告
活動場所:タイ北部山岳地域 (タイ国チェンマイ県メチェム郡)
当プロジェクトは、北タイ山岳地域の子供たちや若者たちが自然資源を守り利用する力をつけることを目標に、 2002 年 4 月から 2007 年 3 月の 5 年間にわたって実施してきました。最終年にあたる 2006 年度は、メチェム郡の 11 の学校とコミュニティ(村)を対象として活動を展開しました。
対象校
■チャンコン地区
1.インタノン・ワタナ学校
■メーナジョン地区
2.メーホイ学校
3.メーマロー学校
4.メーナジョン学校
5.メーワック学校
6.ソプワック学校
7.メーサ学校
■メーサック地区
8.ナホン学校
ドイインタノン国立公園の山すそにあるインタノン・ワタナ学校
■ターパ地区
9.パナン学校
10 .サムソップ学校
11 .バンタップ学校
プロジェクト地の背景、現状とプロジェクトの目的
タイ北部のチェンマイ県メチェム郡は、首都バンコクに注ぐ主要河川ジャオプラヤ川の源流部、ドイインタノン国立公園 ( タイ国の最高峰の山 ) に隣接したところに位置し、国の需要な水源地でもあります。約 7 万人の住民のほとんどは高地に住んでいて、自然資源によって生計を立てている少数民族です。人々は、食べもの、薬、燃料、建材などを森に求めており、それら自然資源は、先住民における知識、精神的な価値、また、伝統の源でもあります。 5 つの民族、カレン、モン、ルア、ローランドタイ、リス族が、 10 の地区、 125 の村に住んでいます。主要な人種集団であるカレン族は、代々引き継がれてきた知識と慣習により持続可能な方法で自然資源を利用していました。
近年、農地の拡大によって森林が減少し、一方では、政府による保護地区拡大政策は利用可能な農地や森林をさらに少なくさせました。また、大手資本が奨励する商品作物の栽培は化学肥料や農薬の使用につながり土壌や水質の劣化を招いています。結果として住民はますます貧困になるという負の構造が生じています。
プロジェクトは、メチェム郡の 4 つの地区(チャンコン、メーナジョン、メースーク、ターパ)で実行されました。この地域は険しい山と悪路によって、行政サービスは行き届かず、現代社会に必要な知識やテクノロジーへのアクセスを困難にさせています。かつ辺境地域あるため、ほとんどの学校では教師も教材も不足しています。同時に、現在の教育制度は児童生徒たちが郷土について学ぶことを奨励していません。伝統的な知識、実際的な教訓、自然資源を利用する知恵は、公式カリキュラムから無視されているのが現状です。
最終年の活動(2006年 4月 〜 2007年 3月)
プロジェクト 5 年目の最終年にあたり、郡内 11 校を対象に活動しました。うち 2 校を例にとると、インタノン学校では、村の保護林約 1ha にコーヒーを栽培することで、経済 ( 換金樹木=コーヒー ) と環境保全 ( 造林、有機肥料、土壌 ) について学習しました。また、メーワック学校では、村人が教師となって自然資源、伝統文化や工芸技術を学習しています。
インタノン・ワタナ学校 (チャンコン地区 )
プロジェクト名:有機肥料による土地改良と傾斜地を利用したコーヒー園
受益者: 119 人の学生( 4 〜 9 年生)、 80 人の村人、 12 人の先生
学校に隣接する6ライ ( 約1 ha) の土地を利用してコーヒー栽培を行いました。目的は環境と経済両立モデルをコミュニティに対してデモンストレーションすることです。保全林の間にコーヒーを植えることで経済的にも直接役立つ造林を目指します。コーヒーの苗木には有機肥料を使用し、生徒たちはこの活動を通して環境、土、森林、経済について学ぶことになります。その結果、@持続可能な農業、A土壌保全、B森林保全における環境教育カリキュラムを作成することができました。
コーヒーは学校の裏にあるコミュニティフォレストの斜面に、木と木の間に植えつける。枝に突き刺した黒い袋が目印

有機肥料コンポスト作り

クンワン・王室プロジェクトにクロスビジット(左) 子どもたちによる植林と下草刈
メーワック学校 ( メーナジョン地区 )
プロジェクト名:持続可能な環境教育
受益者:生徒 25 人 (1 〜 6 年生 ), 村人 50 人 , 先生 3 人
インタノン・ワタナ学校から15キロ北に位置するこの学校もドイインタノン国立公園に隣接しています。この村の人々は学校教育に協力的な上に、学校が村の保護林(6ライ=約 1ha )に接しているという好い条件下にあります。この森には野生動物、野鳥、きのこ、薬草など森の恵みがたくさんあります。学校の中に環境センターを設置し、ここで村人が教師として自然資源や伝統などについて教えるといったローカルカリキュラムの活動が継続しています。
主な活動
1.自然資源保全学習―地域固有の樹木、薬草、野生動物を学習
2.インタノン山で植林や自然保全活動
3.持続可能な農業活動―野菜、有機堆肥づくり、養魚飼育 |
 木に自分の名前を張り、そこには「これで私
たちには豊かは空気が与えられる」と書き記している |

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薬草について学ぶ野外環境センター
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有機堆肥、野菜畑 |

| 4.伝統文化:伝統工芸、伝統舞踊、村のおばあちゃんによる伝統工芸の伝授 |
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| 6. 学校の環境活動の観察記録作成:ありの巣活動、きのこ園活動、リサイクル活動 |
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| 赤あり観察 |
| 赤あり飼育―水やえさを補給 |
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主な成果と結び
1.子供たちを対象にした 3 つの内容の教育カリキュラムを完成 @有機的複合農業、Aコミュニティフォレスト(里山)、B村の伝統文化
2.学校、子どもたちとコミュニティが一体になった環境保全活動が行われたことは、自然資源の利用保全や有機農法など、総合的な環境活動に対する意識の高まりと共に、村や民族の伝統的な知恵を生かした活動となりました。
3.ワークショップ、キャンプ、日々の自発的活動などを通して子どもたちのリーダーシップ能力が高まりました。
4. 3 学校内に環境教育センターを設置し、コミュニティフォレストの自然観察路づくりが行われました。
5.コミュニティと学校が一体になった活動モデルとして、インタノン・ワタナ学校とメーワック学校はリーダーとしての役割を担うようになりました。また、メーワーク学校の事例をビデオにして開発教育に役立てています。
■5 年にわたる本プロジェクトの成果として、教師と村人の連携によるローカルカリキュラム・環境教育カリキュラムが出来上がり、今後も継続的に環境保全と環境教育が行える基盤をつくりました。生徒たちは環境に対する知識と保全技術を取得、コミュニティ(村)では 環境保全活動と環境教育を同時に行えるようになりました。
■自然資源を生かすことは村の伝統的な知恵の再評価につながり、村の知恵者が重要な役割を演じるようになりました。このことはさらにコミュニティと学校が一体となった活動へと発展しました。また、子どもの自発性を促すということにおいても寄与しています。特に設備も整っていない山岳地域の子どもたちに対する教育における質的向上とコミュニティの持続的開発に大いに貢献する事業として教育省や大学からも高い評価を得ています。
※この事業は凸版印刷株式会社のカート缶に設定された森林保護基金によって実施されました。事業終了にあたり、あらためて御礼申し上げます。

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総括 |
生徒たちは活動を通して、活動や学んだことを記録し、発表することを学び、これによって自己の学習能力が高まっています。タイの教育現場では、生徒たちは教師の決定を待って物事を行い、発表も教師の意思決定に従うようなところが見られますが、これに対して、プロジェクトとしては、教師、生徒双方にアプローチし、生徒自身の発想を重んじる教師のキャパシティーを開発すると共に、生徒の自由な発想を重んじるアプローチを試みました。
また同様に、村人も、教育は教師の役割であると云う固定概念から抜け出せず、コミュニティーが教育に果たす役割の重要性を理解するにはいたっていません。特に環境教育におけるコミュニティーの役割を高めるには、継続的にコミュニティー活動をサポートし、学校と一体になって環境保全の正しい教材を村の中に築き上げていくことが重要な課題となっています。
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この事業は平成17年度凸版印刷株式会社の森林保護基金の助成を受けて実施されています。
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